プラットホーム/松本 卓也
発車までの十数分
自販機前の喫煙所
微かに増した北風に
肩を竦めて時を待つ
鼻先掠めた白い粉
灰と思って振り払う
甲に感じた冷たさが
春はまだだと告げてくる
肩に抱えて繰り返す
心を癒す暇は無く
巡る季節を傍観し
白髪を増やすだけなのか
今夜僅かに降る雪に
言葉を乗せて放ちたい
裏腹を理性が飼い殺し
明日を無難に生きるけど
頬に張り付く粉雪が
溶け落ちるたび流れ行く
涙を止める事なんて
きっと出来やしないから
メモを広げて書き落とす
滲んだ紙に連なった
僕だけが知る僕の声
風に運ばれ雪となれ
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