泡の微笑み/あおば
枯れ果てたわたしの思い
よろよろと蹴躓くごろた石
炎熱の河原を歩いていたら
枯草の間に水鳥の巣がだらり、
歪んだ形のリングで版図を示し
その中に白い泡が住んでいた
樹液か動物の粘液か解らぬが
見つめるほどに増殖し
ぷくぷくと切れの良い音がした
自然界にはよくあることで
粘液化して水分保持する、
乾燥防止自然の智恵だ
知らぬ間に変容し増殖し
蠢いて立ち去って行く
木陰に置いた揺り籠の
乳児は自然に消えており
朝日に輝く冬の淡雪、
浜に砕ける波の華か
真っ白な泡が充満し
ぶつぶつしゅーしゅー
切れの良い音程で
無情の音楽を奏てる
地を這うものの竪琴とよむ
束の間の喜びと悲しみよ
終楽章は干からびた獣と
静かに見つめる冬の日と
河面を下る泡の微笑み
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作２０００／０９／０５
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