エバが教えてくれたこと/ベンジャミン
エバ、君は
人の目を怖れるから
僕が見つめるほどに遠ざかったね
その気持ちは痛いほど
僕にも伝わってきたよ
エバ、君は
捨て猫だったから
信じることを怖れていたんだよね
瞳の色は巨峰に似ていて
まるで何も見ていないような
蒼い宇宙を浮かべていた
エバ、君と
僕は友達になるために
目を閉じて君の名を呼んだんだ
ずっと、ずっと
膝の上に手を乗せて
エバ、君の
細い鳴き声がゆっくりと
近づいてくるのがわかったから
僕はどんなに
閉じていた目を開けようか
迷っていたんだ
エバ、君が
いつの間にか触れる距離
その気配が温度でわか
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