エバが教えてくれたこと/ベンジャミン
 
エバ、君は
人の目を怖れるから
僕が見つめるほどに遠ざかったね

その気持ちは痛いほど
僕にも伝わってきたよ

エバ、君は
捨て猫だったから
信じることを怖れていたんだよね

瞳の色は巨峰に似ていて
まるで何も見ていないような
蒼い宇宙を浮かべていた

エバ、君と
僕は友達になるために
目を閉じて君の名を呼んだんだ

ずっと、ずっと
膝の上に手を乗せて

エバ、君の
細い鳴き声がゆっくりと
近づいてくるのがわかったから

僕はどんなに
閉じていた目を開けようか
迷っていたんだ

エバ、君が
いつの間にか触れる距離
その気配が温度でわか
[次のページ]
戻る   Point(2)