行商/あおば
乏しいこの地方には
明るさと色彩が好まれるのを
長い経験と
直感により知っていて
はるばるとやってきた
窓越しに眺めると
この光の乏しい季節の中では
三人の旅人はヒグマの如き
褐色の生き物で
不景気に動き回っている
解けた
氷が溶けた
冷凍庫が壊れる
夏の電力需要のアンバランス
氷も溶けるアンバランスの季節
腐った肉魁に蛆がわいて
魚の餌となる
その白い影
巡る季節にふさわしく
装い凝らしヒグマ旅する
春の陽のオーバーコート
色鮮やかに
-----------------
かなり前に書いたものです。
戻る 編 削 Point(4)