「2/2」/hiyoku
 

まあるいやかんに まあるい世界
ちらちらとひかる影 木々と
空の

音のない小部屋
ただ少し
手のひらは汗ばんで

ガラス一枚隔てた先に
胸は 焼けつくように痛む

ジリジリと灼けて
ぽろぽろとこぼれて

淡々と 流れてゆく日常

それが何よりも素晴らしいのだと

眠る間際 あの子は

泣きながら

言った。

焦点のあわない目で聞いた
郵便やさんが走り去る音
木の揺れる声
雲が走る空

におい

暖かな足元

ノスタルジーに冒された胸には
何もかもが愛しいから

ペン先が
止まることはないんだ。
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