星空を担うもの/大城 小町
 
幾層にも連なった羊雲の下

あまりにも低い空の下

玉手箱だらけの地平線の上

働き蟻の眠る土の上

案山子(かかし)のように

海藻のように

使われなくなったギターのように

音飛びのする音楽CDのように

立ちすくんだ僕にカルキ臭い雨は

おろしたての服に

ゆっくりとした速度で侵食していく


いつしか僕は水になってしまった

カルキの入り混じった

蒸発と凝縮を繰り返し

束ねた空気は優しく包みこんで

重力に逆らう


それでも僕は水を飲み続ける

渇きを癒すために

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