「 双月譚。 」/PULL.
ひとつ月を見ない。
最後に彼月を見たのは、
四つ前の七日双月であった。
双月。
ひとつ月と、
ふたつ月は、
兄弟月である。
大変に仲の好い兄弟月で、
二十七夜を交互に分け合い。
昇り満ち欠けて、
沈んでいた。
気性が荒く、
我が侭なふたつ月は、
他の星達や太陽と、
度々面倒を起こしたが。
柔和な性格で知られ、
弟月思いでもある、
ひとつ月が、
いつも何とか取りなして、
事なきを得ていた。
ひとつ月はふたつ月を。
ふたつ月はひとつ月を。
互いに思いやり、
助け、支え合っていた。
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