寓話/
ミゼット
潜水病になった人魚と二人で
万華鏡を取り合って
あんまりひどく騒いでいたから
押入れの中から鬼が出てきて
キクコとカナエを連れ去った
着物のすそは、千代紙を散らす
あまいピンクの砂糖のお菓子を
戸棚に隠しておいたのに
しらない間になくなった
「お前がきっと食べた」
私は人魚を井戸に突き落とす
でも、
どうしてか口の端が甘い
押入れの中からは三人の笑い声
人魚はもういない
噛まれた指に血が滲むだけ
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