蝉の声、夏の恋人へ/完食
 
蝉の声を聞き

夏を迎えたことに気づく


毎年の事ながら蝉は鳴く

構想七年、最高級の愛の唄を

一瞬に等しい時間で消えていく合間に


私も

届くかわからない愛の唄を

一瞬の一生の中、カナカナと作っている


蝉の声を聞き

先週より減ったことを知る


毎年の事ながら蝉は鳴く

齢七年、どこかに居る運命の人へ

自分よりも若い子供たちとサバイバルする合間に


私も

一生を懸けて愛の唄を

どこかの誰かへ、ツクツクと作っている
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