偉大な王は最大のお荷物/腰抜け若鶏
若かりし頃 王は素手で獅子を倒した
名乗りあげる諸国の王を一網打尽にし 全土を我がものにした
五千の敵兵を数百の兵で打ち破り この国を救った
王は民のために善く尽くした
民の笑顔を自らの幸福と歌った
詩人達はこぞって王を讃えた 民も同じ気持ちだった
王は見事な手腕でこの国を治めた
民の声を親身になって聞き 誰をも公平な立場で扱った
そして謀反や陰謀が起こらぬよう徹底的に取り締まった
誰一人逆らえる者も 逆らおうとする者もいなかった
それから500年の時が流れた
王は今だに健在であった
勢いは今も昔も衰えなかった
その日 すべての民が立ち上がり 王を打ち倒した
革命が起こったのだ
500年間 ただ民のためを想い国を治めた王は
一体何故なのだ? そう叫びながら逝った
当時の詩人の綴った記録が残されている
時はすべてを等しく滅びへといざなう
この世界の何者も その定めに逆らう事はできない
500年間 大国を治めた偉大すぎる王は
ついに時によって沈められたのだ
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