なんかおぼえてる/黒川排除 (oldsoup)
幼芽杳として育つ樹海は母
不穏な沐浴美女の背に文字かすむ国へ
観客の涙を誘いつつ植樹
あきらめて針山へ川つくるべく
電球ばらまく飛行船ひっつかんで投函
正気のサボテン連ね山脈は夜を飲み込む
射手の腕何も射抜かず空を掴もうとした
飼育員来て紙皿焼いて噎せて帰る
雪降ると疼く身体に馬車が着く
割って水にする自我誰も飲まずわれも踏まず
氷河寄せる長い手長い日腕枕
ブーツのこびとくらい仕事を引き受ける
地にめり込む金属わたしだと思う
けぶるうずたかき校舎の裾野で死をえがかれ
逃げ来てすぐチューバ吹かされ街は朝
電線が切れてのたうつのは少女
二重にぶれる川の仮想の流れを受け止める
ある日木箱に住む地球の直径とは裏腹に
土星の輪を見続けるために婚約する
オブラートに包んで飲む苦い星いつか
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