球体/なかやまそう
 
ゆらゆらゆられながら
ぼくとホームレスは
体育すわりして
それぞれの
プラスチックみたいな
球体のなかで
ぼんやりと過ごしていた

暗やみのなかで
かすかにひかる
出口がみえる

球体には赤ちゃんや
こじかや冬眠中のくまや
ホームレスや
ミドリの芽やアイデアやらが

まだ見ぬ日常を
かたちづくるすべてのモノが
それぞれの球体のなかで
たたずんでいた

ボコンボコンと
つぎつぎにあふれだす
ひかりにおちるモノたちと
無邪気に笑えない
トコロにおちるモノたちと


ぼくが落ちる日常は
もう
すぐそこだった




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