これが詩の勉強か/腰抜け若鶏
 
電車に乗ると分厚い本を広げて
熱心に見入る青年がいた
タイトルは悪魔辞典

彼の後ろに回り
そっと横から盗み見る

そこには聞いたこともないような
凝りに凝った名前がずらり
怪しげで恐ろしい押し絵入りだ

なるほど
これが詩の勉強か

あんまりにも熱心に読み耽る彼に感心すると同時に
俺にはもう詩を書く意味はないんじゃないかな
どこかでそんな意地の悪い笑みが浮かんだ

あんまりいい気持ちはしなかった

君は思ったことをそのまま直球ストレートで表現できる
そこがすごい所だけど、そのせいで他人を傷つける事もある
だから少し嘘を学んだほうがいいかもしれないね

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