しあわせのかたち/和歌こゆみ
 
あの朝はあまい香りがしていた
あの人は眠そうな目をして
隣にいなくなった私をさがしてた
洗濯物を干していたわたしは
そんなあなたの様子に微笑んで
いまなら世界がおわってもいいって
嘘みたいに そんなことを感じてた

平凡という権利
幸福という義務

朝は苦手だと言うあなたは
それでも二人分のトーストを手にして
私を目覚めさせてくれる

二人分の空気
一人分の温度

知ってるのよ
自覚する術もないほど
あなたはやさしい
それが当たり前すぎるから
自分ではわからないだけ

明日もわたし
こんな気持ちでいられるかな





戻る   Point(1)