月/葉leaf
 
は都市が滅び始めるまさにその瞬間を、深い驚愕の縁に、あるいは都市の明るい窓々に見つけ出すかもしれないし、沙漠の地下深く、水の流れる場所に、微生物でできた小さな花のつぼみを見るかもしれない。
 最後の死体を燃やし終えると、人は月の上に立っている。月はすべての世界の交点であり、無限に足しあわされた切片である。人は肉体を忘却し、海を忘却する。理由のない、灰汁に満ちた怒りに視界を覆われる。そして、静かに分裂しながら、無数の痛ましい麻糸となる。

 月の上には夥しい数の人の死体がある。それらの死体が風に吹かれるごとに、地上では、例えば一個の林檎の実が生まれる。

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