Wednesday Night/吉岡孝次
心の少年兵よ
きみは今も
新興住宅地の上を翔(かけ)ているのだろうか
月光を浴びながら
忘却に立ち向かっているのだろうか
確かめたくて窓から首を出せば
電柱で立て膝 笑っているはずだ
(心配するな)
(約束は守れよ)
そんなことを言いながらターバンを巻き直し
今度は本当に消えていってしまうのだろう
止めることは出来ない
*
ひところに比べると
疲れた日には何か言いたいことがあったはずだし
暗い帰り道も長かったはずだ
なのに水盤の前ではきみを思い出すことも
出来ずいたずらに断片をばらまいていただけだった
*
ノートは持ち歩いて
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