虚羽(うつわ)の天使/
木立 悟
ひびく
ひびく
音叉の雲から
はじまりの空へ
天使のかたちがひびきわたる
輪と共に陽は沈む
がらんどうの音がなりひびく
町のように大きなひとつの楽器に
鳥が集まり
奏者のない音を聴いている
はばたきを忘れ
鳥であることを忘れ
聴いている
春の影
春の薄い羽
土を 空を 貫く群れ
すべて壊れたものに乗って
虚ろな天使はひびきわたる
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