機熟/
七尾きよし
古びたカサカサの皮膚が
いつの間にか
みずみずしさをとりもどし
ムクムクとふくらむだけふくらむと
はじけて
新しいいのちがはじまる
ひとつ
またひとつ
失われてしまったはずの
色たちが
ひょこっ ひょこっと顔をだし
あっ という間に
ぼくの中の色たちも
目をさましだす
さくらの花が咲くころ
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