機熟/七尾きよし
 
古びたカサカサの皮膚が
いつの間にか
みずみずしさをとりもどし
ムクムクとふくらむだけふくらむと
はじけて
新しいいのちがはじまる

ひとつ
またひとつ
失われてしまったはずの
色たちが
ひょこっ ひょこっと顔をだし
あっ  という間に
ぼくの中の色たちも
目をさましだす

さくらの花が咲くころ


戻る   Point(1)