ただいま、という名前の人に/霜天
(伸ばされていたのは僕らではなく、日の光だよ)
そう、
つぶやいていたのは誰の横顔だっただろう
同じ服装の顔と顔とが集まっていく、丸顔の時計の下は
いつも降り積もるばかりだった
きょうしつ、そう呼んでいた立方体の中
何を残せる、というのだろう
テリトリー、そう呼んで
僕らは跳躍で、そこで千切れて
ただいまという人
僕らは飛び込んで
優しい歌を君が歌えば
肋骨の間から吸い込まれていって
背骨にまで、響いた
そこから呼吸が漏れ出していくので
どうにも苦し、かった
未来、そんなふうに呼んでいた選択肢
交差するばかりで信号もないのは
どこかで
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