「 つるしもの。二日目。 」/PULL.
 
た。

差し出したハンカチを、
ぐしょぐしょにして、
カリミは話してくれた。

ここでは書けないけれど。
今まであった全部、
すべてを話してくれた。

最後はお互い、
ぐしょぐしょの顔で、
抱き合って別れた。

坂を下りる。

傘を叩く雨音は、
閉ざされた響き。

雨に抱きしめられていた。
そんな感じがした響き。




坂の途中、
子豚亭の前を通ると、
林檎の特売をやっていたので、
一袋買った。

「今日は元気ないね。」

そういって、
子豚亭のお兄さんは、
一つおまけしてくれた。

お礼をいうと、
お兄さんは照れた。

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