八月のバラッド/狸亭
めぐりきた敗戦後五十年目の夏の日々
ひとびとの思い出がいっせいにふきだす
メデイヤにあふれいきつづける酸鼻
あれもこれもみな生の意味を問いかえす
太陽はたなびく雲をとおして下界をこがす
くりかえされる涙のように汗がながれる
湘南病院のベッドで三男坊をだきおこす
硝煙うずまく硫黄島の壕に兵士がみまかる
あついあつい日きみはひっこしの準備
多磨霊園の父母と弟のねむる墓石を覆いつくす
夏草の繁茂の中でぼくの体躯(からだ)は熱をおび
虫たちの声にまじる死者の声を聴き澄ます
夜空にあがる花火のかがやくパフォーマンス
くだりつづけるしかない奈落へのプロセス
だらしなく寝そ
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