スティーヴ・ゴッドの短くも幸福な人生〜神業とかみさんの日々〜/クリ
、大幅に狭くなっていた。従って彼の両目は、ほぼ人並みにまで近寄った。コカインも止めていたし。
また、彼がピアノをプレイし出したということは、F#の呪縛を解いただけではない。それは彼が「ピアノを担げるようになった」ことをも意味する。彼は特注のスタインウェイを担いで移動した! 時間というものは凄いものだ。
彼の筋力、特に瞬発力は破壊力と紙一重だった。何度も弦を切断し、鍵を粉砕した彼のために、ピアノのかなりの部分はカーボン・ナノチューブで作られていた。最も困難を極めたのは、金属弦の音に近づけることだったと言う。それについてゴッドはこう言う。
「楽器は楽器さ、ドラムもピアノも打楽器だしね、あまり
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