スティーヴ・ゴッドの短くも幸福な人生〜神業とかみさんの日々〜/クリ
 
ことがらは、「この曲は彼のアドリブ/スタジオ・ライブである」ということだ。
 サビは、フーガ仕立てのピアノと、無限上昇音階を打楽器で表す技法、これにカズーが重なる。まるでそれは、バッハそのものだった。
ラストの約12秒は、これらすべてが複雑に、有機的に絡み合う。ドラム、ピアノ、カズー、ボーカル! それも「スタジオ・ライブ」でだ。
誰もがそれを信じなかった。ミュージシャンにありがちな一種のジョークだろう、と。(しかし後々、このレコーディングの際に同時収録されていたビデオが発表され、真実が証されることとなる…)
 そしてまた、4年の月日が流れる。彼の名を知るほとんどの者は、ゴッドは死んだ、とい
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