さよならダーリン/和歌こゆみ
 
『なくさないでね 私が大好きなきみだから』

ドアを閉めるあなたの仕草がすきだった
シャツを脱ぎ捨てる時の背中も
けだるそうな朝の顔も
なきだしそうな顔で口づけて
優しすぎてみえなかった

『きみが誰をみていてもいいって おもってたの 最初はね』

この華奢な指で
あなたを壊してしまえるなんて
思いもしなかったよ
あれから一度だって
君は泣いたりしなかっただろう?

『やさしくしないで これ以上愛せないのなら』

どうしてもっと早く
言ってくれなかったんだ
それとも僕が言わせなかったのか

『すがったわけじゃないの
あなたとでなきゃ こんな気持ちにはならなかった』


悲しいのも今だけで
きっとひとりでも生きてゆけるよ
だけど


“またあしたね”と手を振る君は
記憶の中いつも微笑っていた


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