火棘/ミゼット
 
「センセィ、」

確かそれは赤かった

「センセィ、」

庭のピラカンサスが燃えている

「なんてん、まんりょう、べにしたん」

それは かきょく と女は言った

「センセィ、」

着物も何も赤かった

土に塗れて燃えていた

顔には  花が咲いていた

右目は大輪 椿のように

「センセィ、センセィ、センセィ、センセィ、センセィ」

腿ばかり 白かった

終ぞ言葉を覚えなかった鳥
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