スタンド・バイ・ミー/便乗鴎
ステッカーでべたべたに汚れた地下の、
非合法の
秘密の
非日常で飾った
そんなライヴハウス
そのパンク・バンドは
いつもは虚無主義だとか
厭世主義、
退廃主義、悪魔主義
無政府主義を唱えて
がなっているのに
今夜はなぜ
スタンド・バイ・ミーをすべるように
歌っている
僕は直感的に
今夜
誰かが
僕の知らない 誰かが、
死んだのだと思う
誰かが
まったくの 無 にとって代わり
彼への名前も
言葉さえも すべて
彼の、過去へと投げかけるしかない
そんな境地にバンドがいる
死んだ男は、死んだという楽観的な言葉では表現できない
現実でもって
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