僕は嘘っこの汗をかいている(連詩)/便乗鴎
 
 ジョー

チャンピオンになって
灰になったジョー
灰燼(かいじん)に帰した六十年の理想
僕はクーラーのついた部屋
閉じ篭って
嘘っこの汗をかき
自分のために詩を書いている
今日カプセルホテルの一室で
男が死んだ
(彼がシステムで死んだのか
 自業自得なのかは知らない)
思うに
仲間の声は冷たい
灰になったジョー
僕をきみのジャブで揺らせ



 孤独のイシュマール

月光草
孤独のイシュマール
夜の酸素を吐き出している
つたないハートを
さも綺麗に飾りながら
静かな砂漠に生きている 僕らの偶像
遠くながれる
そして遠くながれたあとの
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