夜に咲く花/純太
 
こんなさびた暗いアパートに
なぜぼくは住まなきゃいけないんだろう


カスバの女をよく歌っていると
父さんに言ったのは母さん
その歌を二階の女の人は
今日は歌わず階段を降りてきた

太陽が沈んでしまっても
ぼくはラムネと一緒に階段の真下

二階の女の人はかまわず
足と下着を真上から見せながら

コン  コン  コン  コン  コン

ひるがえった二階の女の人は
目がひるがえっているぼくに微笑んで

コツ  コツ  コツ  コツ  コツ

階段を降りる音と歩く音は
聞きなれていたけれど
胸とお尻を見なれていないぼくは
飲みなれたラムネをもう一度   
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