うそきみどり/黒川排除 (oldsoup)
その公園では立ち枯れて百年の昔
霞む象 連れ去られていくのはわたし
焼けたトーストごと母の血を噛む
軒しつらえる無数のケーブル吐く氷塊へ
太字五本線農道脇で息する場所
焼けくる夕空あおいセロハン撒き散らし
人形は母の形見母は父の形見
雨でなく湯がしとしと降り昼がかわいそう
いまだ寿命でない日にくるしく枯れる花
ぽっかり口を開けて港になる友人
背押されまるくなる幽体坂へふと暗みかかる
眠る草木の中で老婆と対峙する
まるで作戦鉢の並びに孤独を愛し
竹それぞれに失踪したき節を持つ
掲示見た欠員部品化して動く
脊椎香る死後なら良し虎など来たれ
病み抜いて無人の部屋に片寄る毛布
倒れた出入り口から地下へと店主が招く
取っ手部分のくらがりで休む閑古鳥
分かれ道や殺害現場にあるスプリッター
うそきみどり色の少女とべたべたする
長いエプロン引きずり河岸へいくバンシー
髄になるまで草の輪かけ続けてもらう
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