夜と源/木立 悟
 
ろのひとがいますか
わたしではない
けがれない手の
かなしげな目の
こがねいろのひとがいますか


それは色を失くした色のある
あふれつづける応えだった
森の次の森を見つめ
重なる輪郭の譜を奏で
源はくりかえしけだものとなり
求めるものの手に触れ
駆け去るのだった


子は前髪を切り 目をさらし
髪をたばね うなじをさらし
道のむこうの途切れた道
ひとつづきの壊れた灯り
誰もいない曲がり角
何かに満ちた曲がり角をすぎ
白の奥の深緑へと
いのち見る者に見える道へと
ひとり ひとり 歩んでゆく








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