夜と源/木立 悟
黒に近い深緑から
白のうたが聞こえていた
たくさんのものを失って
望まぬちからを得た最初の日
こんもりとした光のかたまり
まるく息づく色はほどけて
指を撫で
指と指のあいだを撫で
ゆるやかにひとつの尾にかえる
弦(つる)もなく 何を射るでもない弓を
じっと握っているのでした
握りしめているだけで
あとからあとから
ふるえはあふれ
伝わるのでした
あおい 深あおい
雪のひと房
向かい風のなか
まるく残り
さらに小さなまるいものを
包むようににじみかがやく
けだものよ
あなたの心のなかには
まだ金いろの
[次のページ]
戻る 編 削 Point(3)