夜と源/木立 悟
 



黒に近い深緑から
白のうたが聞こえていた
たくさんのものを失って
望まぬちからを得た最初の日


こんもりとした光のかたまり
まるく息づく色はほどけて
指を撫で 
指と指のあいだを撫で
ゆるやかにひとつの尾にかえる


弦(つる)もなく 何を射るでもない弓を
じっと握っているのでした
握りしめているだけで
あとからあとから
ふるえはあふれ
伝わるのでした


あおい  深あおい
雪のひと房
向かい風のなか
まるく残り
さらに小さなまるいものを
包むようににじみかがやく


けだものよ
あなたの心のなかには
まだ金いろの
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