灰と黒蟻/黒川排除 (oldsoup)
初はうろたえ、もがき、足をじたばたさせていたが、やがて観念したかのように動かなくなった。死んだのかと思ったら、じゅう、という音がした。焼けて灰になったのだ。わたしは急な現象に驚いた。目の前の死に対するより驚いていた。半袖でいる事は何より恐怖だった。しかし、定められた範囲を放り出されたら自分だってただでは済むまいと感ずる事が一番の恐怖だった。灰は穴を掘って埋めてやる事にした。そしてわたしは奇怪な悲鳴を上げた。ここはとうに掘られた穴の底だったのだ。
戻る 編 削 Point(3)