ある告白/銀猫
真夜中の毛布に隠れ
短い振動が
密かにわたしを呼ぶ
七十センチ横では
きみの見知らぬ連れ合いが
高らかに寝息で嘘を吐いている
幸福の整理券を
並んで手に入れたものの
本当は少し
使い途に戸惑っている
こころの奥処に
きみを棲まわせたまま
わたしは薄情な両腕を
近くに在った広い肩に回し
まるで
安いペイパーバックの
恋愛本さながら
愛を問うたりしているのだ
裁かれない罪の名は
結婚と呼ばれ
明けない偽りを散りばめた幾千の夜が
逃亡者の姿を隠す
呼ぶが良い
わたしの名は灰の猫
瞳の三日月には
真実と偽りの境界線が
けして映らないのだ
切り裂くが良い
灰猫の魂を
両の爪は
けして抗いはしないだろう
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