ハミング/
たもつ
なくしたものと
もういない人とが
ありえないシーソーで
つりあってる
そんな救いのない話しか
思い出せない
と証言台で男は述べたが
語尾はすでに
空気と区別がつかなかった
街のいたるところに
夏は来ていた
木陰で語られる愛は
いつものように眩いばかりだ
戻る
編
削
Point
(11)