粒 子/紫野
 

 高く空に刺さる 木の 黒い
 黒い樹たちの隙間から

 降る音 来る音
 その向こうに棲む おと

 冴え冴えと 
 地に降り積んでは
 ゆる、と めぐる

 発した声は
 やわらかなひかりとなりて
 木霊のはざまに走りゆき
 樹上に少し
 たちどまる

 往く音は
 耳 から のど へ
 眼は かの影を
 射られようとも 捉えようと
 しずかにそのときを
 待っており






戻る   Point(4)