ほろ苦きなのは/maumi
フレンチローストと
イタリアンロースト
メニューの前で悩んでいたら
後ろの人が舌打ちをした
怒ってはいけない
珈琲というものは
ココロを落ち着かせる為に
飲むもんだ
と おじいちゃんから教わった
豆を挽く音は一瞬で過ぎる
(僕の青春も一瞬で ゴホンっ)
ろ過布を落とした透明な筒
そこから見える厨房に
憧れさえ覚える
ゆっくり燃焼する青の揺らめき
小さい泡が我慢出来ずに踊りだす
魔法のランプのように
ボワンと白煙
出てきたのは髭オヤジじゃなくて
極上のアロマ
少し大きめの器に
キラキラひかる光沢の表面
ほろ苦くて構わないのは
この珈琲だけでいいとさえ思う
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