或る日の凍裂/たりぽん(大理 奔)
ひどく壊れた
短笛(ピッコロ)の夜
胸の隙間にしみこんで
かたく凍った涙が
この身を裂く音
修行者のように
振り仰いだまま
静寂に刻む
生きたまま
この身を裂く音
わずかに震え
振り落とす粉雪
呼べない名前にかえて
伝えない気持ちにかえて
命にかえて
遠くに
遠くに届け
と響く
無限に凍る刹那
生きたまま
この身を裂きながら
凍裂:冬季の低温により水分が凍結膨張することで、樹木の樹幹が縦方向に割れる現象。霜割れ、霜裂、寒裂とも呼ばれる。
戻る 編 削 Point(7)