ノート(滴歌)/木立 悟
 

かつてここには声があり
雨とともに舞っていた
あつまる小さな手のように
はじきはじかれ まわる歌



緑の雨に声は飛び去り
雨の緑に見えなくなった
水は煙る手になった
歌は灯る目になった



たくさんの泪
たくさんの水紋
水たまりに映る 声なき声
灯の歌のなかに立ちつくし
水の手のなかによみがえる




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