夜の詩人/便乗鴎
朝焼けの海も
だれかの夢のなかで揺れている
朝の一瞬の呼吸も、昼過ぎの時間が止まったそらのいろも
深夜二時のどんな陳腐な一秒にもかないはしない
夜は 自身が夜であるということだけで
僕にそう思わせる
僕は詩人になろう
夜が、夜として正確に紙の上にことばとして存在できるように
努めよう
（自称、……自称以外になにがあるというのか ひとは自分が詩人だと自称し
たとき詩人になる。アマチュアとか、プロという問題ではなく。
…だから自称できない猫や、かもめや亀のなかにも、ひっそりと詩を
くちずさんでいるヤツがいるかも知れない。
……ひとが戦争によって領土を奪い盗るマーキングをするのなら、
猫は詩をくちずさむ）
ケルベロス いまきこえているか
お前が彼らの頭を喰って殺すまえに
朝の、
昼の詩人は もういないよ
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