照夜 終夜/木立 悟
あらゆる景色が海へと落ちてゆく
夜の震えがいつまでも消えず
線路を青くかがやかせている
ひとつの雲が原を過ぎ
光は濡れたくぼみに落ちて
飛び交うように激しく速く
滴の空へともどってゆく
光が燃えている
水平線から
地平線から
壁のように雲が噴き出し
空を覆う
月の色をした世界が
海に映り 打ち寄せる
もう追いつけないだろう
とどくことはないだろう
遠くへいったものたちは
けして消えてはいないと
わかっているのに 心はくりかえす
光の外で
風が夜をひろげてゆく
その小さな音を聴いている
強い光が雪を照らし
ひと
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