警戒をくぐって/便乗鴎
 
嵐を越えていこう 
ときみ

ひしゃげちまいそうに小さい、痩せ細った自転車に乗って
新幹線には浪漫がない
あれ大きな鉄の塊だよ――

―――ついてこなくていいよ もう

連れていく気だったけど
向こう側の闇が濃くなっている

きみがもし大変なことになったら寂しくなる
責任も
こんなにリュックは重いのに

台風の目のなかにいる間は平気だから 
つらいのは最初だけ
震える夜(よ)に喉が渇く

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