眠れる森の/蒸発王
 
黎明は午睡の中

夜明けを望まず

覚めない夢を見る


もう目覚めないで



『眠れる森の』



知人が交通事故で
植物状態になった
あまり親しくなかったが
流石に落ち込んだ


翌日



本屋で当の本人にあった



いや
正しくは
本人ではなく


彼女のPHSロボットだった



時代と共に
PHSはただの通信機能のみならず
メモリー機能への性能を上げていった
人々は自分の記憶をメモリーとしてPHSカードに保存した
そのPHSカードをロボットに内臓すると
個人の記憶が写され
ロボットは本人の外見・
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