二重人格/こめ
 
人混みにまみれて

ぼくはそこにいた

ぼくはそこら辺の奴らとはちがう

ぼくのことを奴らは二重人格と言う

ぼくには心には二人の住人が居る

一人は優しいシンク色の天使

もう一人は残酷な死にまみれた色の悪魔

普段は天使でこの世の中を過ごしている

そのときは人にはばればかった

僕自身も心にもう一人住んでいるなんて

知らなかった

いや信じたくなかっただけかもしれない

しかしやつはとうとう現れた

なにが起きたのかは分からなかった

目の前に拡がる光景を

理解するのに精一杯だった

そこには赤色でコンクリートの

壁に虹が書かれその下には

もう虫の息の男どもが

8、9人転がっていた

そしてそれを見て僕は

笑っていた

それ以来僕は人混みにまみれ

表の天使しか出さず

悪魔から必死で逃げてきた

血で拡がる世界に一度踏み込んだ

ぼくはもうどうにもならず

ただの破壊を繰り返す

残酷な悪魔となった


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