姿の源 ?/木立 悟
誰もいない街の上を
独りの鳥が飛んでいた
色褪せた黄金の街だった
かつて金色の泥流に埋もれて滅んだ
古代の街のようだった
乾いた巨大な植物のなかから
鳥は光の色を見ていた
光の音を聴いていた
生まれ変わろうとする旅人が
光のありかを捜している
互いに逆らいあうものどうしが棲む
霧の門の内側に至り
手のひらの光
流れ落ちてゆく光を見つめる
独り歩むものだけが持つあかり
その先にあるものを見つめつづける
燃え上がる音が
神の十視と神の十尾を組みしいている
見えないものの影が
雨の音のなかに浮かんでいる
三つ子の
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