鰐と谷川俊太郎/岡部淳太郎
 
とへの
無言の抗議であるかのように
あなたの音はどこまでも静謐だ

(何ひとつ書くことはない)
言葉は書くよりも先に 歌となって
あなたの口腔から迸り出るからだ

輪になって
鰐になって
この世界を
噛み砕いてやろう

かっぱ
らっぱ
なっぱ
ぜんぶかっぱらって

鰐の口の中に放りこめ!



(注)「(何ひとつ書くことはない)」は、谷川俊太郎の「鳥羽1」から。「かっぱ/らっぱ/なっぱ/ぜんぶかっぱらって」は、谷川俊太郎の「かっぱ」を元にアレンジを施した。


(二〇〇六年一月十四日「俊読」)
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