蓋天宣夜/佐々宝砂
 
前達人間どもの地球は其の浮遊体であると思つたか。
地球が宇宙の中心であると考へた昔人より幾らか謙虚であらうが、
否。否否否。違ふ。笑止。

テーブルの下部、其処は永遠の夜であるが、
わづかに光る蛍のやうなものが無数に飛ぶ。
あの蛍のやうなものの一つを、
御前達は太陽と呼んでをる。
御前達の地球は蛍のまはりに舞ふ塵よ。
闇の中ふはりふはりと舞ふ塵よ。


初出 蘭の会2006年1月月例詩集「テーブル」

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