姿の源 ?/木立 悟
 



月を囲む夜の雲の輪
輪の内の空は外より暗く
月は星を消せないでいる
夜の終わりにも輪は動かず
近づいてくる巨きな星のように
空の頂に在りつづける



見えない雨が
放射のように落ちてゆく
見えない鳥が 見えない星が
生きるもののない地に落ちてゆく
足りぬもの 足り得ぬもの 地に残されたもの
雪と光の行方を嗅ぎ
陽を散らしては飛び去る鳥
今は居ない生きものの歌を
戯れのようにくりかえす



夜の反射も 冬の反射も
みんな必死に溶けてゆく
ふるえる光 流れる光
降る雪のわずかな隙間を
灰色にかがやく花 鳥 蝶
さらに小さく埋めてゆく
昼 午後 夜 雪
すべてがまだらに踊る姿は
はじまりの空
はじまりの火を想わせる








戻る   Point(2)