姿の源 ?/木立 悟
 
の蒼と草の音のなかで
緑色の羽だけを着て立っている
胸のあいだの闇を見つめながら
川に降る雨を
海へそそぐ日々を見つめながら



見えないかけらを踏みしめて
雨のなか 歩みを止められず
鳥は枯れ川に立ち 青を見る
冷たく晴れた空をあおぎ
証のような青の向こうに
はじまりのなかのはじまりを見る



終わろうとする日の上で
鳥は鏡になってゆく
はじまりのかたちを残したまま
冬の羽に世界は映る
野に沈みかけた岩の船
姿の源へと向かう舳先
鳥が最後に見つめていたもの
飛び立つ羽に刻まれるもの









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