倒木/奥津 強
 
今 目の前に
折れた 倒木が
眼下に 何本も
落ち 流れていく

そこには 流れるものなどない
だが 私らは 見る

倒木は ペイントされている
雑音を 口走っている
流れていく 所はないというのに
倒木は 故郷へ 帰ろうとしている

すべてを 美というのであれば
芸術であっただろう
だが すべては 死へと つながり
死を 意識すれば
すべては 美しいものなどではない

だが 虚空の中に
私らは すべてを
意識するのだ

暖かな 帰る場所

平和


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