病院/前田ふむふむ
五つの黒い眼のドアのある病院で
受付の詩の入門書が体温計を持って来て、僕に質問した。
(今日は何処の引き出しが悪いのですか。
三番目が少し痛いので、先生に診て貰いたいのです。
(それでは、体温計を三番目の引き出しに入れて
お待ちください。
病院はたくさんの患者で混雑していた。
待合室に腰を下ろすと、
右隣では太陽が足を折って、松葉杖をついている。
左隣では月が火傷をしている。
前の方では、青い海が40度の熱を出して、
苦しいと唸っている。
森の小鳥が鳴いていない。躁鬱病かしら。
山はあまり形容詞を食べ過ぎたので、
お腹を壊して、精密
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